Fender MIJ Limited 50s Stratocaster レビューその2:アタリの福袋のようなギター

正式名称は「Fender Made in Japan 2018 Limited Collection 50s Stratocaster」。

 

このエントリーでは買ったばかりのストラトを軽くバラして紹介します。

結論をサマると

◯パーツはUSA製のAmerican Originalシリーズ準拠。コスパが良い。

造作も良く、特にネックやフレットのエッジ処理は秀逸。

◯勝手に競合モデルを選ぶなら、Momose MST2、アメヴィン、アメオリ、カスタムショップ(チームビルド)の中古。

 

以下、詳細画像をお届けします。

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ボディー。私の個体は2ピースのアッシュ、どちらも木取りは板目。

個人的にはリフトソーンの方が表情があって好きだが、これも悪くない。f:id:reversehead:20190124134829j:image

背面。ラッカーの質感も美しい。バースト部分はクリームというかレモン色というか、そんな色味。オールラッカーフィニッシュとのこと。

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ジョイントプレートはこんな感じ。限定モデル感出てますな。

厚みは2mm程度、材質不明。

ビンテージ系のモデルは薄手のプレートを用いるケースをよく見るので、意外に感じた。
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ネックとヘッドストック。ワンピースメイプル、Cシェイプ、184R、ビンテージフレット。

ナチュラグロスフィニッシュ。しっかりした肉付きと相まって、コロッとした印象を受ける。

ロゴはちゃんと、塗装面の上からウォーターデカールを貼られている。

 

フレットのエッジ処理が滑らか、程よい調整がされていて弦落ちしにくい。プリングも非常にやりやすい。

特筆すべきはフィンガーボードのロール具合。2000年頃以降のUSAモデルの多くは、指板エッジ(というより.ネックのサイド部分)が絶妙に丸められている。

これが非常に心地よい。個人的にはなぜ他社やメキシコ製、日本製がこの仕様にしないのだ…と思うほど違いを感じる&気に入っている。

弾きながらたまにニヤついてしまう。


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店頭やデジマートで見た限りでは、フラットソーン(板目)取りのネックが多い模様。

個人的にはベタなフラットソーンが好みなのだが、バラしてみたらこんなに複雑な木目でした。
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ジョイント部分。COLLってなんだろう。

輝く「LTD」表記を眺めて謎の優越感に浸る。
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ネックポケット。ホワイトブロンドのリミテッドストラトか。

…そのまんまだな。

「検」スタンプが国産感を漂わせてくる。これまた謎の優越感に(略

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アッセンもバラしてみた。ブロンドの質感が美しい。

キャビティー内はアッシュの導管の凹凸をより感じられる。コンパウンドのカスが出てくることもなく、改めて仕事の美しさを実感。

ワイヤリングは、カスタムショップのチームビルドを想起させる仕上がり。

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購入検討中の方に有益な情報を。

カタログスペック上、PU名は「Vintage」的な説明しかされておりませんが、おそらく載っているのはPure Vintage '59 setです。

3基ともPUボビンに「59」と手書きされていました。やるなあ。
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アッセン。

USAのビンテージ系モデルにも載っているオリジナルのオイルコンとCTSポット。

つまり電装系のスペックは、アメヴィンやアメオリ同等ということになる。

ワイヤリングはSadowskyほどの仕上がりではないが、きっちり。十分美しい。

 

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ブリッジ。コマの刻印は「FENDER/PAT.PEND」…これまたアメオリスペックか!やるなあ。
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ブロックもしっかりスチール製。一部塗装がすでに剥がれているのはご愛嬌。

 

このギターを買うなら…という視点で、比較対象とポイントを並べてみたい。

同じフェンダー勢からの競合モデルは、ヴィンストの中古が筆頭にあがる。あるいはアメリカン オリジナルシリーズのブロンドストラトもあるが、指板ラディアスとフレットの仕様が異なるので好みで検討いただく必要がある。

次に、MomoseのMST2。国産の丁寧な仕事とお値段以上の仕上がりが競合ポイント。

こちらもネック周りの仕様が違う。コンテンポラリーな指板とミディアムジャンボのフレット、加えて22フレット仕様となっている。

鳴り方の違い、プレイアビリティ、フェンダーというブランドバリューをどう評価するか?が、選択肢の分かれ目。

 

またカスタムショップ(チームビルド)の中古も、背伸びすれば買える領域。この辺りもお試しいただきたい。

個体差はあるが、十分タメを張れる仕様と仕上がりである。

これが新品で、実売価格17万円程度というのは評価されるべきだと思う。

 

最終的には予算のレンジ、ブランドバリューと「その個体」を気に入るか否かよって判断すべき。よって、ご覧下さった皆様に「これ買え!」と断言するのは難しいと考えている。

この雑なメモが、判断材料として貢献できれば幸いである。

 

…お役に立てただろうか。