Fender MIJ Limited 50s Stratocaster レビューその2:アタリの福袋のようなギター
正式名称は「Fender Made in Japan 2018 Limited Collection 50s Stratocaster」。
このエントリーでは買ったばかりのストラトを軽くバラして紹介します。
結論をサマると
◯パーツはUSA製のAmerican Originalシリーズ準拠。コスパが良い。
造作も良く、特にネックやフレットのエッジ処理は秀逸。
◯勝手に競合モデルを選ぶなら、Momose MST2、アメヴィン、アメオリ、カスタムショップ(チームビルド)の中古。
以下、詳細画像をお届けします。
ボディー。私の個体は2ピースのアッシュ、どちらも木取りは板目。
個人的にはリフトソーンの方が表情があって好きだが、これも悪くない。
背面。ラッカーの質感も美しい。バースト部分はクリームというかレモン色というか、そんな色味。オールラッカーフィニッシュとのこと。
ジョイントプレートはこんな感じ。限定モデル感出てますな。
厚みは2mm程度、材質不明。
ビンテージ系のモデルは薄手のプレートを用いるケースをよく見るので、意外に感じた。
ネックとヘッドストック。ワンピースメイプル、Cシェイプ、184R、ビンテージフレット。
ナチュラルグロスフィニッシュ。しっかりした肉付きと相まって、コロッとした印象を受ける。
ロゴはちゃんと、塗装面の上からウォーターデカールを貼られている。
フレットのエッジ処理が滑らか、程よい調整がされていて弦落ちしにくい。プリングも非常にやりやすい。
特筆すべきはフィンガーボードのロール具合。2000年頃以降のUSAモデルの多くは、指板エッジ(というより.ネックのサイド部分)が絶妙に丸められている。
これが非常に心地よい。個人的にはなぜ他社やメキシコ製、日本製がこの仕様にしないのだ…と思うほど違いを感じる&気に入っている。
弾きながらたまにニヤついてしまう。
店頭やデジマートで見た限りでは、フラットソーン(板目)取りのネックが多い模様。
個人的にはベタなフラットソーンが好みなのだが、バラしてみたらこんなに複雑な木目でした。
ジョイント部分。COLLってなんだろう。
輝く「LTD」表記を眺めて謎の優越感に浸る。
ネックポケット。ホワイトブロンドのリミテッドストラトか。
…そのまんまだな。
「検」スタンプが国産感を漂わせてくる。これまた謎の優越感に(略
アッセンもバラしてみた。ブロンドの質感が美しい。
キャビティー内はアッシュの導管の凹凸をより感じられる。コンパウンドのカスが出てくることもなく、改めて仕事の美しさを実感。
ワイヤリングは、カスタムショップのチームビルドを想起させる仕上がり。
購入検討中の方に有益な情報を。
カタログスペック上、PU名は「Vintage」的な説明しかされておりませんが、おそらく載っているのはPure Vintage '59 setです。
3基ともPUボビンに「59」と手書きされていました。やるなあ。
アッセン。
USAのビンテージ系モデルにも載っているオリジナルのオイルコンとCTSポット。
つまり電装系のスペックは、アメヴィンやアメオリ同等ということになる。
ワイヤリングはSadowskyほどの仕上がりではないが、きっちり。十分美しい。
ブリッジ。コマの刻印は「FENDER/PAT.PEND」…これまたアメオリスペックか!やるなあ。
ブロックもしっかりスチール製。一部塗装がすでに剥がれているのはご愛嬌。
このギターを買うなら…という視点で、比較対象とポイントを並べてみたい。
同じフェンダー勢からの競合モデルは、ヴィンストの中古が筆頭にあがる。あるいはアメリカン オリジナルシリーズのブロンドストラトもあるが、指板ラディアスとフレットの仕様が異なるので好みで検討いただく必要がある。
次に、MomoseのMST2。国産の丁寧な仕事とお値段以上の仕上がりが競合ポイント。
こちらもネック周りの仕様が違う。コンテンポラリーな指板とミディアムジャンボのフレット、加えて22フレット仕様となっている。
鳴り方の違い、プレイアビリティ、フェンダーというブランドバリューをどう評価するか?が、選択肢の分かれ目。
またカスタムショップ(チームビルド)の中古も、背伸びすれば買える領域。この辺りもお試しいただきたい。
個体差はあるが、十分タメを張れる仕様と仕上がりである。
これが新品で、実売価格17万円程度というのは評価されるべきだと思う。
最終的には予算のレンジ、ブランドバリューと「その個体」を気に入るか否かよって判断すべき。よって、ご覧下さった皆様に「これ買え!」と断言するのは難しいと考えている。
この雑なメモが、判断材料として貢献できれば幸いである。
…お役に立てただろうか。
Fender MIJ Limited 50s Stratocaster レビューその1:日本で生まれた骨太フェンダー
正式名称が「Fender Made in Japan 2018 Limited Collection 50s Stratocaster」。エントリーのタイトルには長い…
2018年、メイドインジャパンの限定モデルとして発表されたアッシュメイプルのブロンドストラト。いわゆるマリーケイモデル。
熟慮の末ポチりましたので、レビューします。
※以下は主観的な評価によるものです。
「個体差」と「好み」によって、人により評価が異なることをご理解ください。
総評:骨太のストラトを検討されている方は試すべき逸品。お値段以上の仕上がり。
カスタムショップのレギュラーラインと、MomoseのMSTシリーズとの中間地点に立っているという印象を受けた。
弾き倒すもよし、コレクションにするもよし。
音:ベースは王道のストラト。
生音大きめ。手持ちのギターではマスグレと同じレベル。音質やフィーリングはカスタムショップの51 Nocasterとよく似ているが、「鳴ってる」感はこちらの方が数段上。アコースティカルでガッツがある。
プラグインしてもその印象は変わらず。無骨で正直者キャラ。ローは柔らかめ。
ルックス:ご覧のとおりです。
ブロンドにもいくつか異なる色味があって、USA製は殆どがシースルーホワイト、90年代のCSはシースルー肌色。2002年に発売されたCS春畑モデルはホワイトバースト。
このモデルは「少しクリームがかったホワイトバースト」というのが近い表現だと思う。
このあたりはいずれまた、別のエントリーで。
ネックの飴色感はほとんどない。ネットと店頭で見た限りではフラットソーンが多い模様。だがこの個体は…
…「フラットソーンで使おうとしたけど、こういう部位だった」という感じか。リフトソーンとも決めつけにくい。
この個体は3.2kgと中々のフェザーウェイトだが、ボディーとネックの重量バランスがよい。カタログスペック上はCシェイプとあるが、標準的なCより厚みがある。しっかり握った際の安心感がよい。
つづく。
Suhr Custom Modern
カスタムオーダー品、2016年に完成。
手間をかけて個人輸入をした一本なので、いずれこの顛末も記事にしようと思う。
スペックオタクの私が老いても飽きない一本、を目指した仕様。派手な材と近代的なシェイプながら、オーソドックスな色使いで飽きないよう配慮した。
キルテッドメイプルトップ、ブラックリンババック。チャンバード加工して軽量化を狙った。
トップはオプションのカスタマーズチョイスで指定したもの。いっそ選ぶなら、と奮発したワンピーストップ。
なんの変哲もない2トーンサンバーストにした結果、杢目の派手さがやや抑えられている。
ネックと指板はココボロ。アレンビックのようなド派手な木目を期待したが、柾目で目の詰まったダークな材が使われている。PRSのローズネックやハカランダネックを意識した選択だったが、結果として唯一無二のトーンを生み出してくれた。
そしてリバースヘッド。すまない、ルックス重視なんだ。低音弦の「張り」は柔らかいように感じる。
ウッディーなヘッドにゴールドロゴはしっくりくる…と思っている。この構成ならレーザーロゴもよかったかもしれないが、ゴールドのデカールロゴがFenderっぽくて好きなもので。
ネックは820-870、ステンレスジャンボフレット。オイルフィニッシュのネックと相まって滑らかな手触り、運指を実現。わたしの腕前以外は理想的なネックである。
ピックアップはフロントにThornbucker、リアにSSH。フロントはPAFを意識。リアはSSH+がポピュラーだが、デジアンでクリップした経験を教訓にややパワーを落とす選択をした。
ブリッジはリセス加工、モダンになりすぎぬようベントサドルを選択。
トレモルノーは自力で装着。
【レビュー】Leqtique 11/11
試奏なしの直販で購入したが、2018年度の買い物でナンバーワンのアタリ物件であった。
(歪ませる)エレキギターを弾く楽しみを強く強く再認識できる、本当に楽しいペダル。
音源はcloudchairさんの動画を見てくれ。すまない。あの映像はよくできているし、よく考えられていると思います。
◾️ジャンル
ハイゲインな…敢えて言うならファズディストーション。かつ、アンプライク系。
◾️アピアランスと造作
銀をベースに青と赤がペイントされている。その上からうっすらと銀ラメ。
側面はアルミに直接クリアを吹いているのかな?と思いきや、こちらも銀ラメが施されていた。
LEDは程よい輝度のレッド。
中身もいつも通りの美しい仕上がり。
◾️音色
宣伝文句は嘘ではないが、何よりもハイゲインで楽しく、脳汁ダバダバの気持ちいいペダルである。
以下要素を全て持つエフェクターだと思って頂ければ、恐らく間違いない。
・速いアタック、ピッキングへの食いつき。
・歪みの印象は…ジューシー。
ソルダーノと5150とビッグマフの三角関係から産まれました、みたいな音。
【2018/11/9追記】訂正!
これはDiezelとビッグマフの長男ですわ。澄んだバイト感が気持ちいいが、マーシャル系のそれとは違う感触。
・ギターのボリューム操作で、クランチとクリーンが作れる。
・しかもこのクランチとクリーンが使える音色。
・ギターの違いがしっかり音に出る。ストラト、ES-345、Suhrでチェックしたがいずれとの相性もよく、それぞれの特徴を残してくれる。
・セパレーションよりも塊感重視。迫力と音圧が強い。
・ローミッドは若干暑苦しい。しかし、音が「遅い」と感じることがない。
・ハイゲインなのにナチュラルでクリア。ここがアンプライクと呼ばれる所以か?
・ローノイズ。そしてノイズのレンジも広い。
バンドルで入手した10/10と並べてノイズを比較すると、10/10はミドル中心のコォーッというノイズ。
対して11/11はサーッというノイズ。しかも幾らか低レベル。
◾️コントロール系
ボリューム、ロー、ゲイン。小さなつまみはエッジ。
ギター、アンプとの調整が絶妙にできる効き方をしてくれる…が、ゲインだけは可変範囲が狭い。
ハイゲインアンプのリードチャンネルだと思っていただければ不満はないだろう。パワーICで歪ませる場合の、設計上の限界かと。
ボリュームはそこそこ稼げる。ローはギターにしては低めの部分を司っている模様。
ドスを効かる・スッキリ聴かせるを的確にコントロールできる。
ローを絞るとケロケロするEQもあるが、11/11はそれがない。
エッジも絶妙な使い勝手、こもらせずに丸くすることが可能だが、歪み方に影響する。
恐らく歪みの前段?中段?で作用するようで、12時より右ではグラッシーかつ粗めの尖り方になる。
内部トリマーはミッドコントロール。
恐らく750〜1kHzあたりのカットを司っているので、暑苦しさを軽減してくれるものではない。
ギター一本とペダルひとつでいろいろな表情を作れる。ギターをもう一歩好きになる。
ハイゲインの美味しいところをしっかり持ちつつ、ギターらしいクリーン/クランチをシームレスに作れる。そんなペダル。
…読み返すと提灯記事のようだが、中の人ではないし自腹切ってます、ちゃんと。
これまでになくハマったペダルだったので、勢いでブログを始めただけの話である。